今回はスーツスタイルの良し悪しを大きく印象付けるVゾーン(シャツとネクタイ)に関する知識と着こなしについてです。
ジャケット、スラックスのようにスーツスタイルにおいて非常に大切なポイント。
シャツの特徴的なディテールと基本的な着こなし、ネクタイのディテールと基本的な合わせ方について解説します。
ジャケットとスラックスについては↓
シャツ
今着ているスーツが何倍も高級感があり綺麗に見え、あなたのスタイルもよりよく見せてくれる。
それがシャツの正しい着こなしによる効果です。
スーツスタイルにとって影の主役とも言えるシャツをきちんと着こなしてみましょう。
まずは特徴的なディテールを見ていきます。
カラー
ここで言うカラーとは襟のこと。
シャツを選ぶ際のポイントもカラーが非常に重要になってきます。
カラーの種類は沢山あるのですが、まずはビジネスシーンにおいて使える基本的な種類についてです。
レギュラーカラー
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その名の通り、最もスタンダードで最もフォーマルなカラーになります。
襟の開きが狭目で襟先が下へ向かって長めになっている形です。
ドレスシャツの定番で冠婚葬祭にも適している種類なのでレギュラーカラーを選びがちですが、襟の開きと長さで良い意味でも悪い意味でも多少地味な印象になってしまうのでビジネスシーンでは特に選ぶ理由はないです。
ワイドカラー
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ワイドカラーとはまたしてもその名の通り、レギュラーカラーと比べ襟の開きが広い種類です。
開きが120°前後で襟の長さも短めとなります。
開きを広く取っていることで、ネクタイのスペースが確保されていて結び目が綺麗に見え華やかな印象を与えます。
また襟の長さが短いので、首回りがすっきりとした印象にもなってきます。
セミワイドカラー
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セミワイドカラーは襟の開きがレギュラーカラーとワイドカラーの中間ぐらいの広さのカラーです。
すっきりしつつもワイドカラーよりは華やかになり過ぎずカラー自体の主張も抑え気味なので、ビジネスシーンにおいてはこのセミワイドカラーがおすすめになります。
カラーの種類としてはこちらを選ぶようにしましょう。
ボタンダウンカラー
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襟先にボタンがついているカラーです。
カラーの形はレギュラーカラーと同じサイズが多く、他のカラーと比べても特徴的なので目につきやすいです。
一見するとおしゃれに見えるのですが、元々ボタンダウンはスポーツをする際に襟がバタつくのを抑えるために作り出されたカラーの種類です。
また無駄を省いてシンプルで洗練された着こなしが正解のスーツスタイルの中においても、ボタンという装飾がついているボタンダウンはドレスレベルが低いことがわかります。
なので、前述のものと比べるとカジュアルな印象が強く若干子供っぽい印象にもなってしまうのでボタンダウンカラーを選択するのはおすすめしません。
ウイングカラー
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襟先が立ち上がって前に折れている特徴的な形です。
蝶ネクタイをつけるシーン、結婚式などでタキシードとともに使用されることが多いです。
こちらは見た目からビジネスで使用される方はまずいないですが、フォーマルシーンにおいては定番の形になります。
カラー自体で首回りに印象がつくので非常にドレッシーなイメージです。
スーツスタイルを整えるという基本的なスーツの着こなしにおいては、ドレスシャツで大切なディテールはカラーの種類のみとなります。
シャツのサイジングについて
ここからはドレスシャツのサイジングについてです。
何度も言いますがドレスシャツはスーツスタイルを整えるという意味で非常にサイジングが重要になってきます。
ジャケットの襟の後ろと袖口から覗くシャツ。
その大きな理由は、視覚効果にあります。
身体には3首という他人の目につきやすいポイント、首、手首、足首があります。
そのうち2箇所、首と手首に正しいサイジングでシャツを見せることによりダークカラーの多いスーツスタイルにおいてアクセントと清潔感がプラスされます。
そのため、ドレスシャツをきちんと選ぶことによりスーツスタイルが一気に洗練された印象になり美しくなるのです。
首回り
ドレスシャツのサイジングで最も重要なのが首回りのサイズ感。
首回り実寸から1、2センチ余裕をもたせた数値が正しいサイズです。
シャツの第一ボタンを閉めた時に、指が2本入る程度の余裕をもたせましょう。
これよりきついと苦しくストレスに、緩いと首元のゆとりが大きく目立ちだらしない印象になってしまいます。
きついと感じない程度でネクタイを締めてもゆとりが目立たないサイズ感にしましょう。
袖丈
袖丈は袖口の甲に触れる程度の長さが基本的です。
この長さのシャツと正しいサイジングのジャケットを組み合わせると、腕を下ろした状態でジャケットの袖口から1,5センチ程度シャツが見えるはずです。
このわずか数センチのシャツが全体の印象を大きく変えます。
袖丈の正しいサイジングができたら、シャツの袖をジャケットの中に隠してみてください。
そのわずかな差の意味が分かるでしょう。
また、シャツの袖丈をジャケットより長くするのはスーツへのダメージを抑えることにも繋がります。
スーツを直接身体に触れさせないことで、余計な汚れが付くのを防ぐことにもなるのです。
アームホール
スーツスタイルにおいて普段は見えない部分ですが、上半身のシルエットの良し悪しに影響を与えるのがアームホールと言う腕周りのサイジングです。
既製品だと難しいですができるだけアームホールの細いすっきりとしたタイプを選びましょう。
アームが太いと腕周りに無駄な余りができ、着心地や微妙な差ながらジャケットの腕周りのシルエットも崩れてしまいます。
ジャケットを脱いだ際も、アームがすっきりしていると美しいシルエットになるのでシャツ1枚でも様になります。
せっかくならばそこまで気を抜かずに着こなしましょう。
カラー
カラーは前述の通り、セミワイドカラーがおすすめです。
襟の開きが最もバランスよくどんな体型の方にもマッチします。
また、前回説明したジャケットとラペルとシャツのカラーにも着こなしのポイントがあります。
ジャケットの上襟と下襟(ラペル)の間、ラペルの上部にある生地の縫い目のラインをゴージラインと呼びます。
このゴージラインの角度とシャツのカラーの角度が平行になっているとVゾーンに安定感が生まれ、より美しい着こなしになるのです。
現在のジャケットのほとんどはゴージラインが高めになっているので、セミワイドカラーを選ぶだけで自然と平行になりやすくバランスが取りやすくなります。
このことも含めてドレスシャツのカラーはセミワイドカラーがおすすめです。
少し細かなポイントが続いていますが、このポイントもあまり注目されない着こなしのコツ。
だからこそ少しだけ気を配れば他人よりグッとオシャレな印象になれます。
ボタン
ドレスシャツにおいてボタンも目立つポイントになります。
素材と色に注目してみましょう。
素材
一般的に多いものがプラスチック製と貝から作られた貝ボタン。
安価なシャツに多いのはプラスチック製のボタンです。
プラスチックが悪いと言うことではありませんが、どうしてもプラスチックだと全て均一に作られるため表情がなくのっぺりとした印象になります。
現在では比較的手頃なシャツにも貝ボタンが使われることが多くなったので、プラスチックと貝で選ぶことができるのであれば貝ボタンを選んでみましょう。
貝ボタンは自然のものなのでひとつひとつ表情が違い、シンプルなドレスシャツを奥行きのある複雑な印象に仕上げてくれます。
また独特のツヤ感や風合いから高級感も感じられます。
色
ボタンの色は意外に目立ちます。
黒やグレーのボタンが使われているドレスシャツがありますが、余計な色を入れると一気に着こなしが難しくなり野暮ったく子供っぽい印象になりやすくなります。
白か乳白色などできるだけ目立ちにくい色か、シャツの色に合わせてあるものを選びましょう。
以上がドレスシャツの着こなしのポイントです。
後半につれて少し細かなポイントになってしまいましたが、最低限首回りと袖丈のサイジングだけは守り、できる範囲で他のポイントも試してみてください。
印象が一気に変わることは間違いないです。
ネクタイ
スーツスタイルで最も目立ち、その人を印象付ける最大要因ともなり得るアイテムがネクタイです。
ネクタイは色柄の組み合わせ方が非常に重要になるのですが、締め方にも注目してみましょう。
まずはディテールと種類です。
大剣、小剣
ネクタイをまっすぐに伸ばし、太い方が大剣。
細い方が小剣と呼ばれます。
ネクタイを締めた時に前に来るのが大剣で隠れるのが小剣です。
レギュラータイ
その名の通り一般的な太さのネクタイです。
ネクタイの種類としては、大剣の太さで判別されます。
大剣の幅が7〜9センチのネクタイがレギュラータイになります。
ナロータイ
レギュラータイと比較して大剣の幅が細めの物、具体的には4〜6センチの幅のネクタイがナロータイと呼ばれます。
レギュラータイよりシャープでモードテイストな印象になります。
ビジネスシーンにおいてはレギュラータイをオススメします。
次にネクタイの締め方、選び方についてです。
締め方は多く種類がありますが、ここではビジネスシーンにおいて取り入れやすい基本の2方について紹介します。
プレーンノット
最も基本となり結び方もシンプルです。
おそらくネクタイを締めたことがある人なら自然とこの結び方をしているはず。
より綺麗に締めるコツはきつくしすぎず、ふんわり締めるイメージです。
シャツのほとんどの襟型と合い、特にレギュラーカラーに合います。
結び方
1、大剣を上、小剣を下にしてネクタイのつなぎ目あたりで交差させる
2、大剣を小剣の下へ通し、そのまま小剣の上に持っていく
3、小剣の下を通り、首とネクタイの間に通す
4、そのまま巻きつけた輪の中に大剣を通し、下へ引っ張って形を整える
5、小剣を引きながら結び目を上げていく
セミウインザーノット
プレーンノットより結び目が左右対称の逆三角形に整えやすい結び方です。
結び目も大きすぎず小さすぎず程よいバランスでスマートな印象を与えます。
こちらもどのシャツにも合います。
プレーンノットと比べ端正な印象になるので、イメージを変えたい時やプレーンノットが上手くできない時にこちらを試してみてもいいでしょう。
結び方
1、大剣を上、小剣を下にしてネクタイのつなぎ目あたりで交差させる
2、大剣を小剣の下へ通し、小剣の上に持っていく(ここまではプレーンノットと同じ)
3、そのまま大剣を首とネクタイの間から下へ通す
4、大剣を小剣の上から回して首とネクタイの間に通す
5、そのまま巻きつけた輪の中に大剣を通し、下へ引っ張って形を整える
6、小剣を引きながら結び目を上げていく
この2種類が基本的なネクタイの結び方になります。
特にこだわりがなければプレーンノットでも全く問題ないです。
できるだけ綺麗にバランスよく結べるように結び方を見直し、練習してみましょう。
ディンプル
ネクタイを締める上で地味ですが大切なポイントがディンプルの有無です。
ディンプルとはネクタイの結び目にできるくぼみのこと。
ディンプルを作ってあげることで、ネクタイに陰影が出てVゾーンが立体的に見えおしゃれな印象に繋がります。
実際にディンプル有りと無しで結んでみると見え方の違いがはっきりとわかります。
作り方は、ネクタイを結び方終盤の形を整える部分。
ここで結び目の下にくぼみを作るイメージで両端を抑えながら下へ引っ張りましょう。
普段の結び方にほんの少しテクニックを加えるだけで、印象が全く変わるので試してみましょう。
太さ
前述の通り、レギュラータイを選びましょう。
もう一歩踏み込むとすると、ラペル幅にも注目です。
ラペル幅とネクタイの大剣の幅が近いものを選んであげるとより整った印象になります。
ただ、現在のスーツであればレギュラータイと近い幅のラペルが多いため最初はそこまで考えなくても自然とまとまってくれます。
長さ
ネクタイを締めた時には大剣の先がどこまでいくか、長さにも注意しましょう。
基本的な長さとしてはベルトのバックルにかかる程度の長さです。
結び方によって短くなったり長くなったりすると思うので、ちょうどいい長さになるまで練習してみましょう。
ちなみにこの正しい長さには腰の位置を分からなくし、脚を長く見せる視覚効果の意味があります。
長すぎるとネクタイ自体も細くなりだらしなく頼りない印象になります。
また短いとカジュアルな印象になり、腰位置も出てしまうのでスタイルも悪く見えてしまいます。
以上がネクタイの結び方、選び方のポイントになります。
Vゾーンの印象を決める主役で視覚効果も兼ねているネクタイはスーツスタイルにおいて体の中心に存在し非常に目立ち、印象を決定づける大事なポイントです。
今回まででスーツスタイルの基本的な大きな着こなしのポイントをまとめました。
次回からは着こなしを知った上での実践編として基本的なコーディネート方法を見ていく予定です。
ジャケットとスラックスについては↓